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  • 執筆者の写真行政書士朝永芳枝事務所

遺言書のとおりに遺産を分けないといけないの?

更新日:2020年7月25日

お亡くなりになった方(被相続人)が、遺言書をのこしていた場合、遺言書の記載内容の通りに遺産を分けることになります。 でも、亡くなるよりも随分と昔に書いたものだと、不動産の価格などが当時と相場が大きく違って、相続人間に不公平感が生まれたりすることもあります。 それでも被相続人の思い通りに遺産を分けないといけないものなのでしょうか。


「遺言書どおり」が原則

法律では、自分の財産を死後に誰にどれくらい渡すかということを指定できる、としています。そして、それを表したものが遺言書なのです。 遺言書がある場合は、被相続人の意思を尊ぶためにも、遺言書が優先されるのです。 平成3年の最高裁判所の判例にも、遺言書が存在するのであれば、遺産分割協議をする余地がないといった主旨のものがあります。


遺産分割協議が出来る場合もある

そうは言っても、実際に相続した後に財産を管理したり処分したり税金を支払ったりしていくのは相続人なので、遺言どおりは困るという方もいらっしゃるかもしれません。 実際の現場では、遺言書があったとしても遺産分割協議をする方はいらっしゃるようです。被相続人の方の意思を無視することになりますが、相続人全員の同意があれば、トラブルになることも無いですし、国税庁のタックスアンサー No.4176には「遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合の相続税と贈与税」として、このような事例があることを見越した回答がされています。


受遺者がいる場合は注意

受遺者とは、遺言で遺産を受け取る人のことを指します。 相続人も受遺者なのですが、一般的には、「相続させる」旨の遺言をするので、この場合の受遺者は「相続人以外の受遺者」としてお読みください。 受遺者がいる場合、遺言の内容が変更すると受遺者に不利益になるので、同意がないと遺産分割協議は無効になります。 また、遺言執行者がいる場合にも、遺言の内容と異なる遺産分割協議をしても無効となる場合がありますので要注意です。


まとめ

遺言書がある場合は、遺言書に従って遺産を分配することが原則ですし、故人のためにも良いのですが、やむを得ない事情がある場合もあるでしょう。 遺言書を作成支援している行政書士の立場から言えば、遺言者の思い通りの分配をしてほしいと思います。 ですから、初めから相続人(受遺者)の立場も踏まえた、様々な状況に配慮した、そして自分の気持ちも届くようなそんな遺言書が書けると本当に良いと思います。

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