葬儀も終わり、片づけをしていると遺言書を見つけました。そのとき、ご家族はどうしたらよいのでしょうか。
見つけたタイミングも大事
すでに遺産分割協議をおこなった後に見つけた場合は、協議のやり直しになります。 また、相続を知った日から3カ月を大きく過ぎていたり、遺言の存在を知らずに相続放棄申述をされ、家庭裁判所の手続きが終わっている場合には原則、放棄や承認を無効にすることは難しいでしょう。 まだ、何もしていない、早い段階で遺言書を見つけた場合は、亡くなられた方の思いが書かれた遺言書を元に名義変更などの手続きが出来ます。
検認をする
「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」を見つけた場合は、家庭裁判所で検認という手続きをします。 このときの家庭裁判所は、亡くなられた方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。 実際の申請の方法は、遺言書を発見した相続人か、遺言書を保管していた人が、家事審判申立書というものを提出します。手数料は800円です。 相続人目録や遺言者の出生時からの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本など提出する書類が多いので少し大変かもしれません。
検認手続きの流れ
申立後は、家庭裁判所から相続人全員に検認の日が通知されます。検認の日には、申立人が出席した相続人の前で、遺言書を開封し、内容を確認します。改ざんがあっていないか、日付などの確認などが行われます。 検認が終わると、「検認済証明書」を申請します。この証明書付きの遺言書を受け取ると、各種手続きに使用できるようになります。
見つけた時に封がされてなかった!
秘密証書遺言については、公証人の前で封をしますので、考えにくいですが、自筆証書遺言では、封をしていないこともあるようです。 見つけた人が検認前に勝手に開封した場合には、5万円以下の過料(行政罰)が適用されることもありますが、最初から封をした形跡が無い場合はどうでしょうか? 実は、自筆証書遺言に関しては、「封をすること」は絶対条件ではありません。なので、封がしていなくても、他の法的な部分を満たしていれば有効です。 だからと言って、中をそっと見ることはやめましょう(見たくなるかもしれませんが)検認前の軽率な行動は、他の相続人から疑われることになり、せっかく遺言書を作って相続人トラブルを防止しようとした遺言者の思いやりが無駄になってしまいます。
まとめ
2020年の7月10日からは、法務局での遺言書を保管する制度が始まる予定です。(もう始まりました) こちらの制度を利用すれば、検認が必要でなくなるというメリットがあります。 検認は手間と時間がかかることを踏まえて、遺言書を作成した方がよいでしょう。 また、見つけた相続人の方は、すみやかに検認手続きをとるようにしましょう。
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