遺言書を書くとき、皆様はどうやって書きますか? 専門家に依頼しないで、自分で書いてみよと思うのならば、遺言書の書き方と称した書籍は沢山出版されていますので、こちらを参考にする方が多いでしょう。 また、インターネット上でも様々な方がひな型や文案を載せていらっしゃるので、内容をちょっと書き換えて使用する方もいらっしゃるのではないでしょうか。 でも、わからずに使用してしまうと、遺言書の効果を最大限に活かせなくなることがありますので、注意が必要ですよ。
遺贈と相続
まず初めにお伝えしたいのは、遺言で財産(遺産)を譲ることを遺贈というということです。
○○に遺贈する
と遺言書に記載します。何を譲るか特定すると「特定遺贈」、遺産の全部をとか全体の何分の1をなどという場合には「包括遺贈」といいます。
その中でも、法定相続人に遺贈するときは、特に「相続させる」と書くことが多いです。
なぜならば、「相続させる」と書くことで、相続手続きをする際に、ただの遺贈とは違い、相続人としての良い点を享受できるからです。
一般的には、法定相続人に遺贈する場合は「相続させる」、それ以外の人や団体などに遺贈するときは「遺贈する」と書いて区別します。
「相続させる」の意味とは?
一般的なひな型や文例を見てみると、「相続させる」の言葉を当たり前に使用しているものが多く見られます。文例にあるから、大丈夫だろうとなんとなく使っていませんでしょうか。
「相続させる」を使うと、特定の財産(遺産)を特定の相続人へ相続させることになります。
例えば、
長男○○に××番地の土地を相続させる。
というと、他に相続人が居ても、長男にのみ××番地の土地を相続させる意味になります。
「相続させる」の注意点
法定相続の場合、相続人が被相続人より先に亡くなっていた場合は、代襲相続が考えられます。父親より長男が先に亡くなった場合、その長男の子が相続します。 ところが、「相続させる」の遺言書がある場合は、注意が必要です。 この「相続させる」という言葉には、遺言者が亡くなった時点で、特定の財産が特定の相続人へ権利が移ると考えられるため、上の例だと、父親が亡くなった時点で長男が居ないので、この遺言書は無効になるのです。 この際には代襲相続は「特段の事情がない限り認められない」という裁判例がでています。 以上のように、無効になることを回避するには、
「相続人が自分より先に亡くなった場合は、その子の○○に相続させる」
といった予備的遺言を作成することができます。
まとめ
契約書でも同じことが言えますが、文例やひな型を利用するのは、わかりやすくて良いのですが、その言葉一つ一つに意味があり、わからないまま使用してしまうと本来の効果が薄れてしまうことがありますので注意が必要なのです。
少しでも疑問があったり、自信が無い時には、専門家に相談するか、法務省や公証役場など公的な機関のホームページなどを参考にすると良いと思います。
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