今まで遺言書の利点を力説してきましたが、遺言書があるのと無いのでは、相続手続きの進め方がずいぶんと変わってきます。 自筆遺言書でしたら、法務局に預けていない場合は検認をしなくてはなりませんし、公正証書遺言書でしたら、少ない書類で手続きが進められます。 普段から家族や親族、大切な方に「遺言書を書いたよ」と知らせていれば良いのですが、そっと遺している方もいらっしゃるかもしれません。まずは、遺言書があるか無いのかをハッキリさせましょう。
自筆証書遺言書を探す
故人が大切な物をどこに保管するでしょうか。考えられるところ全て見てみましょう。 貸金庫やレンタル倉庫、親しい友人に託していた事例もありました。 ある程度思い当たるところを探したら、きりの良いところで終了させる必要があります。いつまでも闇雲に探している訳にも行きません。 自筆証書遺言を遺す場合には、どなたかにお話をされた方が良いですし、せっかく書いた遺言書が見つけられるようにあらかじめ用意しておきましょう。
遺言書情報証明書
2020年から始まった法務局で遺言書を預かる制度。 自筆証書遺言書の場合でも、法務局を保管場所として故人が利用していた場合には、「遺言書情報証明書」を取得して、相続手続きに使用することができます。
遺言者が遺言書を預けた時に交付される「保管証」を遺していれば、法務局に遺言書を預けていることがわかりますが、預けているかどうかわからない時には、「遺言書保管事実証明書」を利用して有無を確認することができます。
遺言検索システム
手元に何も残っていないけれど、たしか故人は、公正証書遺言書を作成していたはず!と思い当たる場合には、 「遺言検索システム」を利用することができます。 利用料は無料。全国どこの公証役場でも利用できます。 ただし、 ・平成元年以降に作成されたもの ・請求者は法定相続人・受遺者・利害関係人 の条件を満たすことが必要です。
まとめ
遺言書が見つかったとしても、その遺言書の種類によって、これからの手続きが違ってきます。例えば、自筆証書遺言書が自宅で見つかった場合は、家族しか相続人が居ないとしても、封をしてあるのに開封したりしないようにしましょう。 また、いくら法務局に保管してあって検認が必要ないとしても、手続きによっては沢山の戸籍書類を集めたりと手数がかかることがありますので、まずは、落ち着いて、何をしたらよいのか相続人で話し合ってみることも必要です。決して単独で動こうとしないようにしましょう。 わからないことがあれば、近隣の専門家などを頼ることも良いと思います。
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